蔵園有生さん
鹿児島県志布志市職員の蔵園有生さん(47)は、琉球古典音楽野村流保存会師範として自宅で三線の研究所(教室)を開いている。市建設課主幹兼都市計画グループサブリーダーの仕事の傍ら、指導やステージ出演を通して、三線の魅力の発信と後進育成に力を注ぐ。
三線に興味を持ったのは、THE BOOM「島唄」のヒットがきっかけ。音楽番組で演奏する姿に憧れて琉球大学に進み、琉球芸能研究クラブに入部。卒業後も沖縄に残り、医療事務の仕事をしながら師匠の下で研さんを積んだ。
一方で子ども時代から安楽山宮神社の神舞の舞い手も務めていた蔵園さん。途絶えかけた地元の伝統芸能を引き継ぎ、併せて鹿児島でも三線を広めようと帰郷。2008年に市役所に入庁、市の生涯学習講座で教え始めた。
講座では親しみやすいポップスや民謡を扱うが、琉球古典音楽を教える人は九州で数人しかいないといい、「古典は琉球王朝時代に冊封使をもてなすため作られた芸能。興味を持ってほしい」と希望者に7年ほど前から指導。24年に三線と笛の師範免許を取得した。
神舞保存会や市文化協会の活動で多忙な日々。「今は生活の一部。発声や弾き方など年齢を重ね出てくる味がある。続けていくうちにもっといいものになるのでは」と稽古に励む。
現在門下生3人、講座で十数人に指導。三線同好会を立ち上げ、自身も隔月の大崎フォーク村のステージなどに立つ。「裾野を広げ、興味を持ってもらえる機会を積極的に作っていきたい」と意欲的だ。