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福岡歯科大学口腔歯学部の田中芳彦教授(60)=出水市出身=らの研究グループは、口腔内の真菌(カビ)によるカンジダ・アウリス真菌症について、発症の仕組みの一部を解明した。
カンジダ・アウリスは人の皮膚や腸に常在する真菌で、2009年に日本で最初に確認された。加齢や免疫力の低下で感染症を発症し、血液に感染すると約30%が死に至るとされる。
田中教授によると、主な真菌の遺伝子型は四つ。日本で報告された型には抗真菌薬が効き、国内で重症化の報告は少ない。一方、英国や米国の型には抗真菌薬が効かず、死亡例が後を絶たないという。新たなパンデミック(世界的大流行)を起こす恐れがあり、世界で警戒されている。
研究では健康なマウスと、真菌の排除に重要なタンパク質「CARD9」のないマウスに真菌を静脈投与。後者は白血球の一種「好中球」が働かないため真菌を排除できず、腎臓が肥大するなど重症化し、死亡した。CARD9のないマウスが感染すれば発症することが分かり、今後薬やワクチンの開発が期待される。10月25日に米科学誌オンライン版に掲載された。
田中教授は「日本にもインバウンド客が増え、いつ流行が起きるか分からない。研究が新しい治療法につながっていけば」と話した。