水幕張って国宝を火事から守れ――霧島神宮の最新防災設備が完成 総事業費8億円、避雷設備や24時間体制の監視センターも

2025/11/14 06:30
防火設備「ドレンチャー」で水幕が張られた霧島神宮本殿=霧島市霧島田口
防火設備「ドレンチャー」で水幕が張られた霧島神宮本殿=霧島市霧島田口
 鹿児島県霧島市の霧島神宮で2023年度から進められていた防災施設の改修工事が完了した。最新の放水銃や防火水槽などを完備し県内唯一の国宝の建造物を守る。8日、現地でお披露目式があり、関係者180人が完成を祝った。

 火災発生時に水幕を張って延焼を防ぐ自動感知型放水銃「ドレンチャー」6基や簡易消火栓16基を本殿周りに設置。連続50分間以上の放水が可能な防火水槽や避雷設備、敷地内を24時間体制で監視する防災センターも新設した。

 霧島神宮は19年の首里城(那覇市)の火災を踏まえ、防災施設の整備を23年度から開始。これまでに国内外1万人以上から計2億円に上る浄財が寄せられた。総事業費は約8億円。国、県、市からの補助も受けた。

 神宮によると、冬場は乾燥しやすく火災の危険にさらされてきたほか、周辺には新燃岳などの活火山があることから対策が急務だったという。権禰宜(ごんねぎ)の上牧瀬章洋さん(33)は「定期的に訓練をし、防災設備の使い方を職員に習熟させ、歴史ある国宝を未来に引き継いでいきたい」と話した。

 現在の社殿は1715(正徳5)年、薩摩藩主・島津吉貴が寄進。柱に巻き付く龍を彫刻した龍柱(りゅうばしら)をはじめとする豪華な装飾や高低差のある立地を生かした社殿構成が評価され、本殿・幣殿・拝殿が2022年2月に国宝に指定された。

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