市道郡元紫原線に設置されている仮設の土砂防護柵=鹿児島市南新町
2012年に大雨で土砂が崩れ、仮設柵による応急措置が続く鹿児島市南新町の市道「郡元紫原線」で、恒久的な安全対策が計画されていることが分かった。交通量が多く中高生の通学路として使われる幹線道路で、劣化が進む木製柵の危険性を指摘する声が寄せられていた。地権者との交渉がまとまらず、市はのり面工事による復旧を断念し、鋼鉄製の防護柵設置へ計画を変更した。
市道路建設課によると、現場は紫原陸橋近く。12年6月24日の大雨でのり面が崩れた。紫原団地と国道225号をつなぐ一級市道で、JR南鹿児島駅や市電も近い。
市は当初から、がけの切り土やのり面保護による本復旧を目指したが、地権者の一部から土地寄贈などの協力が得られず難航。翌13年、歩道上に幅50メートル、高さ6メートルの防護柵を仮設した。支柱と木製板で壁をつくる応急対策が、設置から12年たった現在も続く。
市は日常点検のほか、板交換や支柱補強で維持管理を続けてきた。しかし支柱の腐食が進むなど、今後の安全確保が困難となり、このほど補正予算に測量や地質調査の業務委託費1300万円を盛り込んだ。鋼鉄製の支柱にワイヤやネットを張った防護柵を新設する計画で、26年度中の完成を見込む。幅は75メートルに広げる。
郡元紫原線のほかにも、地権者との交渉がまとまらないため災害復旧に着手できず、仮設防護柵で対応している市道が桜島や武地区などに3カ所残る。市は郡元紫原線と同様に工法を見直し、本年度中に鋼鉄柵設置やモルタル補強を進める。同課の郡山庄二課長は「現状のままでは通行の安全確保ができないため、工法を見直し、恒久対策を実施する。市民の安心・安全を最優先に取り組みたい」と話している。