| お答えします |
山根 正気(やまね・せいき)さん
鹿児島大学理学部教授 |
−ニオイが言葉の代わり−
たくさんのアリが集まったり、行列を作ったりしていると、たいていの人は気持ち悪(わる)がり怖(こわ)がったりします。でも崚介君は行列ができる仕組みに興味(きょうみ)をもったのですね。そこがすばらしいと思います。世界中の昆虫(こんちゅう)学者も同じような疑問(ぎもん)をもって、昔からいろいろなアリの種類(しゅるい)で、そのことを研究(けんきゅう)してきました。
アリの行列がなぜできるのかを説明します。私たちがよく見かけるオオズアリの場合、おいしいえさを見つけると、おしりから「道しるべフェロモン」というニオイのある物質(ぶっしつ)を出し、地面にぬりつけながら巣(す)に帰ってきます。
帰ってきたアリは巣の中でもフェロモンを出し続け、仲間のアリたちは触覚(しょっかく)(ニオイをかぎわけるアンテナ)で、えさの発見を知ります。巣の中にいた仲間たちは、地面に残っているニオイの道しるべをたどって、えさの場所に向かいます。
えさがたっぷりあると、アリたちは、えさを運びながら地面にフェロモンをこすりつけるため、ニオイはどんどん強くなります。そうすると、たくさんの仲間が巣から出てきて、えさの場所に通うようになり、行列ができます。
えさの発見を仲間に知らせる方法は、フェロモンだけかというと、どうもそうではないようです。アリの種類によっても違(ちが)うのですが、えさを見つけて帰ってきたアリは、巣の中に入ると走り回ったり、触角で近くの仲間にさわったり、体をこすって音を出したりすることがあります。もしかしたら自分がえさを見つけたことを、みんなに自慢(じまん)したいのかもしれませんね。
つまり崚介君がおしゃべりができるんじゃないかと考えたように、アリは「えさがあったよ。みんなで取りに行こう」と伝えることができるのです。そして、えさの量(りょう)がどれだけたくさんあるのか、おいしいえさなのか、場所はどれくらい離(はな)れているのかなども、巣に戻ってきてからの行動のはげしさによって知らせていると考えられています。
ところで、これまで世界中では1万種類以上のアリが見つかっています。それぞれ違った習性(しゅうせい)をもち、えさの見つけ方、えさの場所の教え方、行列の作り方もさまざまです。
中には、1匹または数匹の仲間だけを連(つ)れて、えさの場所に案内(あんない)するという効率(こうりつ)の悪いアリもいます。このような習性をもった種では、えさを見つけたアリが巣に帰って、おしりからニオイを出したり、いろいろな動きをしたりして、えさの発見を仲間に伝えているようですが、地面にニオイの道しるべはつけません。巣に帰るまでの景色(けしき)を目で覚えて、仲間をえさの場所につれていくようです。
日本には270種類以上、鹿児島県本土だけでも105種類ものアリがいますが、えさの発見を知らせたり、仲間をえさの場所に連れていく方法がくわしく分かっているのはごく一部です。まだまだ新発見があるはずですから、崚介君もがんばって観察(かんさつ)してみてください。 |