台風12号で被災したゆかりの地に希望の旋律響け――作曲家藤倉大さんが南さつま市20周年式典用にファンファーレ作成

2025/09/21 06:00
画面に写った藤倉大さんと記念撮影する中高生ら=19日、南さつま市役所
画面に写った藤倉大さんと記念撮影する中高生ら=19日、南さつま市役所
 23日にある鹿児島県南さつま市市制施行20周年記念式典で英国在住の作曲家藤倉大さん(48)が作ったファンファーレが披露される。同市加世田内山田ゆかりの藤倉さんは19日夜、演奏する中高生とウェブ上で交流した。8月の台風12号で大きな被害を受けた内山田に思いをはせ「早くいつもの生活に戻れるよう願っています」とメッセージを寄せた。

 市の依頼を受けて作った「Harmony Stones」は内山田の七不思議といわれるスポットの一つ、陰陽石から着想を得た。力強く情緒的で、希望に満ちた曲に仕上げた。

 市内5校の中高生18人が式典に向け練習を重ねる。鹿児島交響楽団指揮者で加世田高校音楽講師の真邉省至さん(72)が指導する。藤倉さんは事前に聴いた練習録音について「すばらしい演奏。もっと個性を出して」と激励した。同校2年稲垣希さんは「演奏は難しいが私たちにしかできない曲」、嶺崎典彬さんは「いつもと違う世界観を届けたい」と意気込んだ。

 藤倉さんは9月19日、市の魅力をPRする「南さつま市外交官」の委嘱を受けた。幼少時は内山田の祖父母宅を頻繁に訪れ、農作業を手伝ったり河原で遊んだりしたという。

 21日で台風12号県本土上陸から1カ月。内山田は93棟が床上浸水などに遭った(市調べ18日時点)。藤倉さんは「祖父が『台風が頻繁に来る』と嘆いていたことを思い出す。ダメージが早く治まるといいですね」と被災者を気遣った。

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