米の値上げを報じた1924年9月6日付の鹿児島朝日新聞
鹿児島大学法文学部付属「鹿児島の近現代」教育研究センターが開設して、間もなく3年を迎える。西南戦争以降の歴史研究が手薄な鹿児島で、埋もれつつある資料の発掘・収集を進め、データベース化に取り組む。地域貢献を意識し、市民を巻き込んだ研究やイベントの充実にも力を入れる。
センターは、その活動を広く知ってもらおうと、100年前の鹿児島朝日新聞(現・南日本新聞)の記事を、X(旧ツイッター)で毎日紹介している。当時の社会や暮らしぶりを伝える記事から、現代への示唆を読み取ることができるという。
南日本新聞社のデジタルアーカイブと契約しており、100年前の同じ日付の新聞から、センターの教員や学生が記事を選ぶ。2023年11月13日から毎日正午ごろ、欠かさず投稿してきた。
1924(大正13)年9月6日付では、「途方もなくお米が昂(たかぶ)る」という見出しの記事を選んだ。「いくら働いてもお米の値段になかなかおっつかぬ」と書かれており、今と共通する課題を抱えていたことが分かる。女性の権利や子どもの命の重さを扱う記事も重点的に選んでいる。
一方、「大睾丸(こうがん)をみせて金銭を強要 睾丸の縮み上るほど叱らる」(25年9月1日付)といったユーモアを交えた記事や、新聞広告への反響が大きいという。
フォロワーは約600人。鹿児島県人口を上回る数を目指す。担当する日高優介特任助教(46)は「祖父母や曽祖父母が生きていた時代と考えると、100年前も少しリアルになる。新聞からは、教科書には載らない人々の生活を生き生きと捉えることができる」と強調した。