全国キャラバンで観客に手を振ってあいさつする妻夫木聡さん(左)と大友啓史監督=8月10日、鹿児島市の鹿児島ミッテ10
戦後、米国統治下に置かれた沖縄が舞台の映画「宝島」が公開されている。米軍基地から奪った物資を住民らに与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちが歩んだ、沖縄本土復帰までの20年を描く。主演の妻夫木聡は現地の資料館などで沖縄の歴史を学び、撮影に臨んだ。福岡市で取材に応じ「鑑賞後、命の鼓動が聞こえた気がした」と手応えを語った。
物語は「アギヤー」のリーダーのオン(永山瑛太)の失踪から始まる。行方を捜すため幼なじみのグスク(妻夫木)は刑事、レイ(窪田正孝)はヤクザになる。ヤマコ(広瀬すず)は教師を選ぶ。3人がそれぞれの生活を送り始め、米国の支配に怒りを募らせる中、失踪の理由が見えてくる。
大友啓史監督は構想を2019年から温めていたが、新型コロナウイルスの影響で撮影は2度延期に。構想から7年越しの公開は戦後80年の節目と重なった。大友監督は「最初からキャストを思い浮かべていたが、それぞれがイメージを超えた。ドキュメンタリーを撮っているようだった」と振り返る。
終盤のコザ暴動のシーンは2000人を超えるエキストラを動員、その迫力と勢いは圧倒的だ。妻夫木は「演じながら沖縄の歴史とグスクとしての思いが走馬灯のように駆け巡った。この作品に携われて本当に良かった」と語った。
3時間11分。鹿児島では鹿児島市の鹿児島ミッテ10、TOHOシネマズ与次郎、姶良市のシネマサンシャイン姶良で公開中。