10月6日、マリンポートかごしまに初寄港する「飛鳥Ⅲ」(郵船クルーズ提供)
鹿児島県内への2025年のクルーズ船寄港回数が、10月中にも年間過去最多だった19年の156回を更新しそうだ。県が公表する鹿児島港の寄港予定や同港以外の入港実績を合わせると、11月末までに166回を数える。好調な背景には、新型コロナウイルス禍以降のインバウンド(訪日客)需要に加え、鹿児島ならではのおもてなしがある。
県によると、11月末までに鹿児島港には計127回の寄港を予定する。10月6日、鹿児島に初寄港する日本船籍の客船では最大の「飛鳥Ⅲ」(5万2200トン)で109回となり、鹿児島港の過去最多(17年、108回)を超える見込み。同港以外にも指宿港(指宿市)や名瀬港(奄美市)など、多くの寄港先があるのも鹿児島の強みだ。
「県民のまごごろからのおもてなしが魅力の一つ」と胸を張るのは、クルーズ船の誘致に取り組む共進組(鹿児島市)船舶代理店部の黒木猛部長代理。中でもマリンポートかごしま(同市)では、約3000人が加入する「おもてなし隊」のメンバーが、国旗やオレンジの手旗を振り歓迎する。
黒木部長代理は「出迎える風景が、鹿児島の港としてのシンボル。母港のようだと話す船長も多い」と話す。これまで約25の団体が吹奏楽やジャズ、太鼓の演奏やフラダンスなどを披露して歓迎した。9月20日には、鹿児島実業高校吹奏楽部が出港前の船内外で演奏しクルーズ客を魅了した。
長年船の受け入れに携わるNPO法人ゆめみなと鹿児島の増森千絵子専務理事は「感謝と『また来てね』との思いを込めている。県民が一体となれる、にぎわいの場にもなっている」と笑顔を見せる。
県の蒲地慶貴観光クルーズ船担当参事は「受け入れ関係者をはじめ、県民が歓迎する気持ちが寄港地としての魅力を高めている」と感謝。県としてもクルーズ客向けツアーの支援や経済効果の波及などに力を入れている。