札幌家裁の判断の枠組み
性同一性障害の当事者が戸籍上の性別変更を求めた家事審判で、札幌家裁が、要件を定めた特例法のうち「変更後の性別の性器部分に似た外観を持つ」との規定について「違憲で無効」とする判断を示したことが23日、関係者への取材で分かった。決定は19日付。ホルモン療法や乳房切除手術をしていない札幌市の申立人に対し、女性から男性への変更を認めた。
性別変更を申請する場合、現行の性同一性障害特例法では、2人以上の医師から診断を受けた上で、(1)18歳以上(2)婚姻していない(3)未成年の子どもがいない―の各規定と、外観要件を満たす必要がある。
家裁の決定によると、申立人は(1)~(3)の要件は満たしているが、ぜんそくの既往歴やアレルギーがありホルモン療法を受けられずにいた。
札幌家裁は決定理由で、法律制定後に医学的知見が進展し、身体的治療の要否は患者によって異なるものとされ、「外観要件を課すことは医学的にみて合理的関連性を欠く」と指摘。身体への侵襲を受けない自由を保障した憲法13条に違反すると判断した。