全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長(右)と対談する、ノーベル生理学・医学賞に選ばれた大阪大の坂口志文特任教授=4日午前、大阪府吹田市
今年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた坂口志文大阪大特任教授(74)は4日、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長(52)と大阪府吹田市の大学キャンパスで対談した。がん患者の多くが転移で亡くなっているとして「転移や再発を免疫で抑えるのが一番効果がある。がん発見時から始められる免疫療法が理想で、一つの重要な方向だ」と話した。共同通信が単独で企画した。
はしかに感染すると病原体の情報が体に記憶され、2度目はかかりにくくなる。この仕組みをがん細胞に働かせられれば再発や転移を防げると、坂口さんが説明。27歳で血液がんの悪性リンパ腫を発症し、再発も経験した天野さんは「転移、再発を不安に思っている患者はたくさんいる。そこに何か武器が加わればもっと救われる」と歓迎した。
坂口さんが免疫を抑制する「制御性T細胞」を取り除くことで相乗効果が出て免疫療法で治せる患者を増やせるとの見通しを紹介すると、天野さんは「抗がん剤は副作用も大きく、免疫療法への期待はものすごく大きい」と応じた。