青く澄んだ秋空の下、下狩宿の住民に担がれ田んぼを見回る田の神=14日、さつま町求名
米どころとして知られる鹿児島県さつま町求名の下狩宿(しもかりじゅく)集落で14日、五穀豊穣(ほうじょう)に感謝する田の神講があった。住民代表が2人一組で重さ70キロほどの田の神像を棒につるし、田んぼ2カ所を見せて今季の豊作を祝った。
寒暖差を利用して良質な米が収穫できる集落で、稲刈りを終えた11月の亥(い)の日に合わせて毎年開いている。
かつては各戸持ち回りで像を保管していたが、過疎化が進み負担軽減のため、2005年から公民館に安置。田んぼ巡りも全て人力から軽トラックの荷台に載せて近くまで移動し、所々で担ぐ形になった。
集落は現在26戸で高齢化率は8割近い。下狩宿公民会の平野一人会長(70)は「人手不足で今のやり方もいつまで続けられるか分からないが、可能な限り伝統を絶やさずにやっていきたい」と話した。