大隅の農業 いいね!魅力再発見!

就農お試し体験ツアー

 本物の農業を本場で体験―。鹿児島県大隅地域振興局は11月2~3日、就農お試し体験ツアーを鹿屋市周辺で開いた。県内の会社員や大学生ら9人が黒牛の世話や野菜の収穫などを体験。日本はもちろん、世界に食材を届ける「食糧供給基地」で働く喜び、やりがいを再発見した。
 鹿児島県の2022年農業産出額は5114億円。6年連続全国2位の農業県だ。とりわけ大隅地域は産出額が県全体の4割を占める一大産地。黒牛、黒豚をはじめ、ピーマン、キュウリ、バレイショなど「かごしまブランド」もいっぱい。うんまか食材の宝庫だ。
 しかし農家の高齢化は進み、担い手不足は深刻な課題に。農家との交流や就農体験を通じて、農業の魅力を知ってもらおうと、同振興局が昨年度に続きツアーを開催した。
 2日は黒牛、ピーマン、サツマイモの3班に分かれて農家の日常を「お試し」。肝付町後田の牛舎では農家が肉用牛生産の現状について説明。お産はアプリなど情報通信技術(ICT)を活用して労働負荷の軽減に取り組んでいる一方、経営課題として最近の飼料高騰や子牛価格の低下を挙げた。
 鹿児島市から参加した大学生は「牛について学んではいるが、えさの与え方、量など現場で体験して分かることは多い」と黒牛の世話に励んだ。
 鹿屋市吾平町下名のピーマンハウスでは追肥用の土壌の穴開けや収穫をした。指導した農家は「若い人が農業に足を踏み入れるのは喜ばしいこと。就農に興味がある人は多いと思うので、どんどん情報発信してほしい」と話した。
 3日はそば打ち体験やかのやばら園の散策を楽しんだ。
「就農お試し体験ツアーin大隅」は2025年1月まで全3回の開催。 南日本新聞社地域共創室=099-813-5022