鹿児島弁どう思う? 「堂々と使う歌手AIちゃんカッコイイ」「言葉失えば故郷もなくなる」「若けしも げんねがらんじ 使こわんな」…愛あるメッセージ続々

2023/11/22 20:15
 南日本新聞、宮崎日日新聞、熊本日日新聞、西日本新聞の九州4紙による「九州弁」についてのアンケートでは、鹿児島の方言を話す人の回答が1300人を超え、多様な意見やエピソードが寄せられた。鹿児島の個性、誇りや親しみを感じる、継承が課題、あまり好きではない-。ふるさとの言葉への思いを探った。

 鹿児島弁や方言について思うことを尋ねると「地域の文化」「ぬくもりに包まれた言葉」「趣があり心地よい」といった熱いメッセージが寄せられた。若い人が使わなくなっており、「廃れていくのでは」と懸念する声も多かった。

 鹿屋市の保育士女性(49)は「標準語と方言を使い分けられるのは、わっぜえカッコイイと思う」。鹿児島市のパート男性(55)は「歌手のAIさんが堂々と鹿児島弁を使うところが誇らしく、カッコイイ」と書き込んだ。

 方言は郷愁を誘う。「古里や祖父母、親を思い出すので残していきたい」(鹿児島市・会社員、41歳男性)、「郷土の良さ、温かみ、人柄が出る」(同市・パート、43歳女性)。

 一方、若者や子どもたちは鹿児島弁を使わなくなっている。「方言を話せる世代が少なくなっていくことは、その土地の文化の衰退につながるような気がして寂しい」とは大崎町の教員女性(62)。鹿児島市の介護職男性(48)は「方言は文化。言葉がなくなれば故郷がなくなると聞いたことがある。良い文化は残すべき」と寄せた。

 霧島市の会社員女性(38)は「鹿児島弁が大好き。テレビのリポーターはぜひ鹿児島弁で話してもらいたい。そして、子どもたちも鹿児島弁をどんどん使ってほしい」。湧水町の会社員男性(65)も「消滅しないよう、方言の劇とかを学校で披露する場があったらいい」と提案する。

 鹿児島市の自営業男性(64)は「若けしもげんねがらんじ、かごっま弁のやいやい使こわんないかんど(若い人たちも恥ずかしがらずに、鹿児島弁をどんどん使わないと)」と訴えた。

 方言の出番が減る現状を踏まえ「日常使いは消えてしまうのかも。時代の流れ」とみるのは鹿児島市の公務員男性(51)。「50代でもあまり使わない。子ども世代はなおさら触れる機会がない」とする。

 鹿児島市の団体職員男性(68)は「方言は県内の地域で異なり、人の交流・転居などでさまざまな方言が交じり合い、純粋な方言を話せる人は極めて少数となっている」と指摘。その上で「中途半端な方言を大切にすることに、どれほどの意義があるのだろうか」と問いかけた。

【鹿児島弁に思うこと、寄せられた主な声】

・若い人がほとんど使わなくなり、方言がなくなっていくことが寂しい(鹿屋市・パート、49歳女性)

・方言は地域のアイデンティティーだと思う。方言を話すことで地元への愛着も増すように思う(鹿児島市・会社員、51歳男性)

・ほっこりするので、無理に隠すことはない(南九州市・看護師、61歳女性)

・鹿児島弁を誇りをもって後世に残してもらいたい。そのために若い人に方言に接する機会を増やしてもらいたい。きっと話題の一つとして役に立つと思う(鹿児島市・会社員、64歳男)

・若い世代は昔ながらの鹿児島弁をほとんど使っていない状況で寂しく思う。方言を何とか残す方策はないものかと考える(姶良市・嘱託職員、70歳男性)

・ぬくもりに包まれた言葉は、鹿児島の文化を築いてきた。羽田空港の鹿児島行きの搭乗口で聞く鹿児島弁は、なんかホットする(霧島市・会社員、59歳男性)

・方言は素晴らしいと思う。何も恥ずかしくない。鹿児島県の有名な人や芸能人等がもっと、鹿児島弁でテレビやラジオで話してほしい(南九州市・会社員、58歳男性)

・方言にも丁寧な方言があると思う。年配の方が使っていると穏やかな気持ちになる(鹿児島市・派遣社員、48歳女性)

・地方文化として残してほしい。学校でもレクリエーションなどで取り入れてもらえばいいと思う(阿久根市・自営業、61歳男性)

・趣のある方言、聞いていて心地よい方言、かわいらしい方言などは残っていくとよいと思う(姶良市・会社員、57歳女性)

・職場の30代から下の人たちは、鹿児島生まれ、鹿児島育ちでも、鹿児島弁(イントネーションも)ではなく標準語で会話しており、距離感を感じる(鹿児島市・会社員、41歳女性)

・方言は心が温かくなる(鹿児島市・パート、50歳女性)

・MBCのたくちゃんのように、方言を使うアナウンサーとか増えたら良いと思う。ぐりぶーも方言で話せば良い。学校でも、方言を教える授業があって良いのでは。子供たちも方言に興味を持って、受け継がれるのではないかと思う(さつま町・自営業、55歳女性)

・独特なイントネーションは残ってほしいなあと思う。AIちゃんがいつまでもイントネーションが抜けないのがとてもかわいらしいし、うれしい(鹿児島市・39歳主婦)

・薩摩狂句がとても面白いと思う。お年寄りの方言も聞いていていいなと思う(指宿市・公務員、60歳女性)

・若い頃は方言がイヤだったので、全く興味を持たなかった。そのため、自分の親や祖母の話す方言を理解できないことがあり後悔している。もっと方言に興味を持って自分から話すようにしておけばよかった(日置市・40歳主婦)

・失くしてはならない言葉。若い子たちももっと使ってほしい(錦江町・会社員、52歳男性)

・方言を残したいというのであれば、図書館などに地元の方言で翻訳してある絵本などを置くと、子どもたちも興味が持てるかもしれない(鹿児島市・37歳主婦)

・わざと残そうとするのは方言ではない気がする。自然と残っていくものではないだろうか。「ことば」は時代とともに変わる。方言も変わっていくのが自然なのだと考える(姶良市・教員、55歳女性)

・なくしてはならないもの。方言には生活や歴史や文化などその土地などの大切な生きた学びがつまってる(鹿児島市・教員、48歳女性)

・聞いていてとても幸せな気持ちになる(鹿児島市・無職、69歳女性)

・小学生、中学生の子どもがいるが、普段の生活では私たち親も方言を使う機会が少ないため、子どもにはなかなか方言が通じない。学校で地域のボランティア(年配の方々)から方言を学ぶ学習があったらいいのではないかと思う(鹿児島市・嘱託職員、48歳女性)

・自分の土地の独特な言い方があるということは、そこで育ったんだと言う自覚と誇りが出てくる。幸せなことだと思う(曽於市・パート、40歳女性)

・方言はその地方の伝統や特色を表す身近な表現ツールであるから、絶対に衰退させてはならない(鹿児島市・警察官、44歳男性)

・その土地その土地ならではの言葉。人情味があって、ほっこりする(鹿児島市・会社員、53歳女性)

・方言には地域の文化や伝統、英知のようなものが表れていると思う。方言の在り方を学ぶことは、その地域の歴史を知り、社会を知ることにつながる(姶良市・無職、66歳男性)

・職場の新入社員は標準語で話している人が多くて驚いた(鹿児島市・会社員、28歳女性)

・最近の若い人たちが標準語で話すのをよく耳にする。なんか寂しい。方言を使うことで、ホンワカする雰囲気も生まれる。もっと普段使いで方言を使ってほしい(薩摩川内市・パート、60歳男性)

・方言は失われつつあるコミュニティー技術。とても大切な心(西之表市・会社員、44歳男性)

・方言は生活の一部であり、文化である。鹿児島弁をはじめ、全国の方言を大切するためにも「毎週○曜日は方言使用の日」を制定しても良いのでは(鹿児島市・会社員、59歳男性)

・県や地域ごとの個性が出るのが方言。無くしてはならないと思う。大島地区の学校で「島ぐち」(方言)を授業で教えている取り組みは見習うべき(鹿児島市・パート、63歳男性)

・関西からJRで帰省するとき、九州に入ると九州弁になり、鹿児島に入ると鹿児島弁が聞こえてくる。初めての帰省時には涙が出てきたのを覚えている(鹿児島市・会社員、62歳男性)

・鹿児島弁に劣等感があるのか、なぜかしゃべりたがらない傾向が強い。年長者が使わないと若い人はますます語れなくなる。関西の人は堂々と関西弁を使うのに(鹿児島市・アルバイト、71歳男性)

・京都や福岡、宮崎など、柔らかい方言はかわいくて使いたい。鹿児島の言葉は暗号のように聞こえ、響きもかわいくない(鹿児島市・パート、50歳女性)

・鹿児島の人は今でも「ごわす」とかを普通に使っていると思われるのはいい気持ちがしない。鹿児島出身の芸能人が、わざとらしい鹿児島弁を話すのも不愉快。ただ、地方の人たちが毎日使う鹿児島弁はとても好き(鹿児島市・パート、60歳女性)

・方言は生活に根付いた言葉であり、人々のアイデンティティーにつながるもの。安易に標準化するのではなく、他の社会文化と共にその良さを伝え守っていく必要がある(鹿児島市・教員、64歳男性)

・子どもが学校で覚えてきた方言を使うのを聞いて、うれしい気持ちになった。大人が普段使えば、子どもにも引き継がれていく(鹿児島市・公務員、65歳女性)

・方言の衰退は東京一極集中、地方社会の劣化のバロメーター(鹿児島市・個人事業主、59歳男性)

・イントネーションだけ鹿児島弁でもいい。わざわざ昔言葉を使う必要はない。今風の方言を推奨(鹿児島市・会社員58歳女性)

・人前で話をする際、経験談の部分を方言にすると場が和んだり、集中を引き戻せたりする。話術として有効なツール(鹿児島市・パート、48歳女性)

・同じ鹿児島でも、離島などに行くと、何を言ってるのかさっぱり分からなかったりする。そこで意味を教えてもらう体験も貴重。その地域の特別な言葉だと思うので、なくなってしまうのは寂しい。後世にも受け渡すべきもの(鹿児島市・主婦、43歳女性)

・50代でもあまり方言は使わない。子ども世代はなおさら方言に触れる機会がない。日常使いは消えてしまうのかも。時代の流れ(鹿児島市・公務員、51歳男性)

・3人の子ども(25〜28歳)は、イントネーションはほぼ鹿児島弁だが、単語は全く使わない。会社では30歳未満あたりから出身者でもイントネーションを含め使わない人が多い。将来、確実に鹿児島弁文化がなくなる。寂しさを感じる(鹿児島市・会社員、57歳男性)
LINEから情報提供
以下のボタンからLINEで友だち追加して、メッセージを送ってください。アンケートなども実施します。
フォームから情報提供
以下のボタンから専用フォームへ行き、メッセージを送ってください。
ファクスから情報提供
ファクス:099-813-5174
郵便から情報提供
〒890-8603
鹿児島市与次郎1-9-33
南日本新聞社「こちら#373」係
【おことわり】
 すべてを取材できるわけではありません。公共性に乏しいと思われるケース、裁判で係争中の案件など、報道機関として取材するのが困難な場合もあります。ご理解ください。
 取材のために記者が返信する場合があります。取材源は秘匿しますのでご安心ください。

日間ランキング >