UAEの火星探査機「ホープ」を搭載し、上昇するH2Aロケット42号機=20日午前6時58分、南種子町中之上
三菱重工業は20日午前6時58分、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE(ホープ)」を搭載したH2Aロケット42号機を、南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。約1時間後、探査機を所定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。H2Aの打ち上げ成功は連続36回に伸びた。H2AとH2Bは計45機連続成功で成功率は98%となった。
当初打ち上げは15日に予定していたが、悪天候のため延期していた。UAE・ドバイの宇宙機関「ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)」によると、分離後のホープは、自力航行で火星に向かう。太陽光パネルを広げた時の全長は8メートル程度で、重さ1・35トン。観測カメラや紫外域分光計、赤外域分光計を使い、季節の変化など大気の全体像をつかむため年間を通して火星の大気の状態を観測する。
火星の周回軌道に到着するのはUAE建国50周年を迎える2021年の予定で、中東初の火星探査機となる。
三菱重工が受注した海外の衛星や探査機は4件目。打ち上げ後の会見で、同社の阿部直彦防衛・宇宙セグメント長は「信頼性の高さは次世代型のH3に引き継ぐ」と述べた。
三菱重工は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、島に入る人員を2割~3割削減、報道向け取材拠点は設けなかった。ドバイから来島した関係者も2週間の外出自粛などで対応。南種子町は見学場を閉鎖した。