馬毛島基地計画 西之表市長、いまだ賛否保留 動く反対派「改めて不同意表明を」 賛成派は情勢注視 30日までの定例会が「ヤマ場」か

2022/09/05 07:30
「基地反対」を訴えて市街地を行進する参加者=西之表市西町
「基地反対」を訴えて市街地を行進する参加者=西之表市西町
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画を巡り、八板俊輔市長は2日開会した市議会定例会の所信表明で、計画の賛否に踏み込まなかった。「9月議会で一定の考えを述べる」と発言していただけに、市民は真意を探りかねている。反対派は「計画不同意を改めて表明すべきだ」と訴えを強め、賛成派は静観しながら情勢を注視する。ともに30日までの今定例会がヤマ場とみる。

 「市長は公約を守れ」。4日午後、西之表市街地に約60人の声が響いた。政策協定を基に昨年の市長選で八板氏を支援した市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」のデモ行進。山内光典会長(71)は「12月議会で反対しても遅い。国が既成事実を積み上げ、手の打ちようがなくなってしまう。9月が最後の機会だ」と危機感を募らせた。

 行進に先立ち、同市民会館であった集会には約130人が参加。野党国会議員とともに「基地を造らせないよう頑張ろう」と気勢を上げた。ただ、八板市長の防衛省への対応を「事実上の計画黙認」と受け取る向きが多く、所信表明にも失望の声が漏れた。

 とりわけ臆測を呼んだのが「国による計画の進展で、市に求められる行政手続きがあれば適切に対応する」との発言だ。「国への協力姿勢が透けて見える」と同市西之表の元建設業古元喜一郎さん(74)。「公約違反と言われても動じない市長の様子が気にかかる。選挙の反対姿勢から転じたら政治生命に関わる」と指摘した。

 所信表明では、計画を推進する地元選出国会議員への「感謝」や、反対派だけでなく賛成派にも寄り添う言葉が並んだ。議会を傍聴した賛成派の政治団体「西之表市と馬毛島の未来創造推進協議会」の鮫島忠雄会長(70)は「今までよりも計画に前向きで踏み込んだ内容」と評価する。

 市と防衛省は5日、懸案となっている馬毛島の小中学校跡地や3市道の取り扱いを協議する予定。杉為昭事務局長(55)は「新しい動きが出る要素があり、波乱が起きかねない。全ては9月議会が終わってからだ」と話した。

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