子どもの権利やからだの権利を踏まえた教育実践を発表する北山ひと美さん=5日午後2時15分、鹿児島市のかごしま県民交流センター-
全国から性教育に関する実践報告を持ち寄り議論する「“人間と性”教育研究協議会(性教協)」の夏期セミナー鹿児島大会が、鹿児島市であった。「からだの権利」をテーマに設定。教員や学生ら約400人が性教育をタブー視しがちな日本の歴史を踏まえ、性の多様性を前提にした性教育を早い段階から実践する必要性を学んだ。
「からだの権利」とは、自分と他人の体を大切にするため、(1)体の器官の名前やパーツを十分に学べる(2)誰もが自分の体のどこをどのように触れるか決められる-など六つの柱からなる。性教協などによると、学習指導要領には、小学校は人の受精に関する過程を、中学校は妊娠の経過を取り扱わない「歯止め規定」がある。
大会は5、6日あり、堀川修平幹事は、今の教材は性犯罪や性暴力の防止を目的の中心に置いた恐怖や恥に頼った指導になりがちと指摘。「子どもたちが権利を学び主張できる力が必要」と力を込めた。
和光小・和光幼稚園(東京)の取り組みを発表した北山ひと美前校園長は「ジェンダーの垣根さえ取り払えば良いのではなく、それぞれの生きづらさや不便さと向き合って。同性愛者の存在を前提とした授業が望ましい」と訴えた。
助産師を志す慶応大学2年の大里梨恵さん(20)は「幼い頃から性教育を受けられれば性への学びに違和感を持たなくなる。指導する側が正しい知識を持つ大切さを実感した」と話した。