鹿児島銀行と九州経済研究所(KER、鹿児島市)は31日、県内企業を対象とする最低賃金(最賃)の引き上げに関する調査結果を公表した。「大いに影響がある」「影響がある」と答えた企業は60%に上った。改定後の賃金を、最賃よりも高く設定すると回答した企業は74%となり、KERは「強気の賃金を設定しなければ雇用を維持できないと考える企業が増えている」と指摘する。
県の最賃は10月6日から44円増の897円となっている。「影響あり」とした企業の割合を業種別でみると、「小売業」(66%)が最多で、「卸売業」(64%)「その他産業」(62%)も多かった。最賃引き上げによる対応は「残業時間の削減・抑制」が35%でトップだった。
必要な支援策を尋ねたところ「税金・社会保険料などの負担軽減」が47%、「補助金・助成金の拡充」が41%、「雇用維持への支援(年収の壁撤廃など)」が39%と続いた。
企業からは「年収の壁で働きたくても働けない人が出てくるので、人手不足に拍車がかかる」(製造業)「就業時間が短くなった分の採用活動が必要だが採用難で苦しい経営になる」(小売業)といった声が聞かれた。
KERは「労働に関する制度、特に年収の壁を取り払ってほしいという声は企業から根強い」とみている。
調査は9月下旬、県内476社を対象に実施し、313社が回答した。