9回表神村無死、今岡が中越え二塁打を放ちチャンスを作る=甲子園
真骨頂の粘り強い攻撃は見せた。併殺を奪い守備からリズムをつくる場面もあった。神村学園は、大阪桐蔭を相手に“らしさ”を発揮。春夏9度も全国制覇したチームに肉薄したが、及ばなかった。
アルプス席に、一番の歓声が響いたのは9回だった。先頭の3番今岡が、中堅手の頭上を越える二塁打。続く正林が変化球を左翼線に打ち返す。たった2人で1点を奪い、最後までしぶとさを見せた。ただ後続が倒れ万事休す。神村ナインは、全国屈指の強豪に2点届かなかった。
大阪桐蔭先発メンバーの平均身長は177.2センチで体重77.88キロ。神村の選手よりも身長は約7センチ高く、体重は5キロ多い。その差は打球の鋭さにも表れていた。5回、大阪桐蔭の1番境の当たりは右翼フェンスを直撃。ランニング本塁打となり3点目を奪われた。
神村バッテリーは4失点したが、緩急を使った攻めは光った。先発上川床や5番手釜はスライダーを軸に、4番手千原はチェンジアップを駆使して、タイミングを外す。木下捕手は「投手陣は100点のでき。5回の本塁打も失投じゃなく、相手の技術が上だった」と振り返った。
悔やまれるのは4失策と乱れた守備だ。小田大介監督は「守備が攻めの気持ちでなく、守りに入っていた」と唇をかむ。夏の県大会まで残り約3カ月。川下主将をはじめ、選手たちは敗戦を前向きに捉える。「夏の日本一になるために、やるべきことが分かった」