前生活安全部長の情報漏えい事件について言及があった鹿児島県警の定例記者会見=30日午後、県警本部
前鹿児島県警生活安全部長の被告(61)が国家公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴された事件を巡り、県警は30日の定例会見で、漏えい先とされる札幌市の記者以外にも、前刑事部長の名前を使って文書を送付していたと明らかにした。事件と関連のない内容で、「前刑事部長をおとしめるための行為だと判断している」と説明した。
県警によると、送り先はメディア関係者ではない。内容や詳細な送付先は明らかにしていない。西畑知明警務部長は「(差出人名が)誰でもよかったわけではないとみている」と述べた。
県警は5月下旬、内部情報を記した文書を記者に送ったとして被告を逮捕した。その文書には野川明輝本部長ではなく「前刑事部長が職員の犯罪行為の隠蔽を指示した」との趣旨が記されていた。被告は逮捕後、「事実を知っているのはごく少数で、送り主が自分だと分からないようにした」と主張している。
記者に送られた文書について、県警は「公表を望んでいないストーカー被害者の実名などが記されており、内部通報や公益通報ではない」と改めて強調した。
被告はこれまでに「前刑事部長とほとんど接点がなく、陥れようという意図はない」と釈明。弁護人は「県警の隠蔽を公にしようとした行為であり、公益通報またはそれに準じるものだ」として無罪を主張する方針を示している。