ゼブラフィッシュ(塩崎一弘教授提供)
“だいやめ”は魚のストレス解消にも有効?-。鹿児島大学水産学部の塩崎一弘教授(49)=食品生命科学=らのグループは、芋焼酎の焼酎かすを利用して養殖魚のストレスを軽減する機能性飼料を開発した。鹿大が11日発表した。いけすへの衝突や共食いなどの行動が抑えられ、成長促進、水揚げ量増加につながると期待される。
栄電社(鹿児島市)との共同研究。焼酎かすは一部が肥料などに活用されているが、腐敗しやすいといった課題があり、多くが産業廃棄物となっている。同社は焼酎かすを乳酸発酵させることで安定させる技術を開発。塩崎教授のグループは、この発酵物を飼料に添加して魚に与え、行動に及ぼす影響を調べた。
熱帯魚ゼブラフィッシュの不安を抑制するホルモンの機能を止めて、うつ状態にすると暗い場所を好み、群れを避けるようになる。このゼブラフィッシュに開発した飼料を与えると、明るい場所や群れの中で泳ぐ時間が増え、社会性が回復した。
メカニズムを解析すると、不安を抑制し社会性を促進するホルモン「イソトシン」が脳内で増加していることが分かった。イソトシンは人間では「幸せホルモン」として知られるオキシトシンに相当する。
塩崎教授は「焼酎かすを飼料に活用した例はこれまでもあったが、実際に行動の改善につながることが分かった。エコで安価、安定供給できる点も優れている」と話している。