戦火免れ昭和初期の建築様式伝える県教育会館、保存かなわず来年9月解体へ マンション分譲手掛ける県外企業へ売却

2024/10/30 15:30
現地での維持活用を条件に売却される計画がとん挫し解体が見込まれる県教育会館=鹿児島市山下町
現地での維持活用を条件に売却される計画がとん挫し解体が見込まれる県教育会館=鹿児島市山下町
 鹿児島市山下町に昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート建築物「鹿児島県教育会館」を所有する県教育会館維持財団は29日、会館と敷地の売買契約を新築マンション分譲などを手がけるフージャースコーポレーション(東京都)と結んだと明らかにした。2025年8月に引き渡し、翌9月から解体される見込み。

 同財団などによると、会館は1931年完成で地下1階地上3階建て。中央公園に隣接している。戦時中に空襲で焼け野原となった鹿児島市街地では、戦前の建築様式を伝える貴重な建物となっている一方で、老朽化が進んでいた。会館と敷地は4億円、駐車場として使われている城山町の土地と合わせて計7億円以上で売却予定だった。

 財団は当初、「貴重な建築物で街のシンボル」として、維持活用を条件に売却先を探したが見つからず、解体前提の売却に変更していた。原園正敏常務理事(61)は「建物を残す最大限の努力をしたがやむを得なかった。市民に喜ばれる事業展開をしてほしい」と話した。現会館に入る県教職員組合など7団体は、下竜尾町に建設中の新会館に来年移転する。

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