上空から望む鹿児島市の街並み
鹿児島市は2004年11月1日、周辺5町を編入合併した。「均衡ある発展」を目指した一体化から20年。旧町域の人口減少と高齢化が鮮明となっている。
吉田、桜島、喜入、郡山、松元の旧町を編入し誕生した新鹿児島市は、旧市に比べ面積がほぼ2倍に広がった。60万人に増えた人口は10月現在で58万3000人余り。市全体では20年で約3.6%の減少にとどまるが、旧町ごとに見ると、厳しい現状が浮かんでくる。
人口がほぼ半減した桜島を始め、ベッドタウン化が進む松元を除く4町で減少が続く。高齢化率は40%を超え、14歳以下の子どもは3~7割減った。11年に九州新幹線が全線開業し、市街地で開発の流れが続く。旧町域に市が整備した交流施設には人が集い、商圏や市域拡大による合併効果も見え始めている一方で、耕作放棄地の拡大が止まらない農村の疲弊は著しい。
下鶴隆央市長は30日の記者会見で、一体化の深まりについて「旧市の事業の5地域での展開やインフラ整備で全体の発展に努めてきた。ただ一体化と同時に自分たちで地域をつくる意識が大事だ」と述べた。人口減が進む旧町民の一人は「地域コミュニティーが弱り、地元を盛り上げようとする動きが減った。『特色のない周辺部』になりつつあると実感する」と語った。
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2日付紙面から連載「『一体化』の先に」を掲載します。