打ち上げられた観測ロケット「S520-34号機」=14日、肝付町の内之浦宇宙空間観測所
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日午前11時半、観測ロケット「S520-34号機」を肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。衝撃波を推力に変換して進むデトネーションエンジンを宇宙空間で分離し、飛行実験を実施。液体燃料を使った同エンジンでは世界初の実験成功となった。
エンジンは約7秒作動。発生させた秒速約1500メートルの衝撃波から予定通りの推力を得た。同エンジンは、推力向上やコンパクト化といった技術の革新につながる可能性があり、世界的に研究が進む。将来的には「H3」などのロケットでの利用も見込まれている。会見した名古屋大学の笠原次郎教授は「非常に大きなステップ。早期の実用化を目指したい」と話した。
今回の打ち上げでは、実験データを記録した機器を大気圏に再突入させた。回収し、研究に活用する。
同町の見学場には約600人が訪れ、打ち上げを見守った。熊本市の佐藤哲彦さん(83)は「空に向かって一気に上昇していく姿がかっこよかった。いい思い出になった」と話した。
34号機は当初8月11日の打ち上げ予定だったが、日向灘を震源とする地震の影響で延期されていた。