鹿児島県内で2023年度、介護施設職員による高齢者虐待が06年度の調査開始以来最も多い13件だったことが19日、県のまとめで分かった。家族や親族による家庭内の虐待は132件。市町村が受けた相談・通報の総数も最多の628件だった。
施設での虐待被害者は、特定できた10件で28人(女性22人、男性6人)。16人が日常生活の見守りが必要な認知症者だった。複数被害もあり、入浴回数を減らすなどの介護放棄が13人、暴言など心理的虐待8人、たたいたりする身体的虐待4人。勝手に金を引き出すなどの経済的虐待4人、性的虐待も3人が受けた。
虐待をしたのは21人。介護職が12人で、施設長も4人いた。虐待の理由として、職員の指導管理体制や相談体制の不十分など組織運営上の問題が目立った。
家庭内の被害者は134人(女性98人、男性36人)で、7割が認知症者。身体的虐待が84人と最多で、続く心理的虐待が68人と前年度より13人増えた。虐待者は141人で、息子が61人、夫が27人、娘が24人だった。要因は「障害・疾病」「介護疲れ」が多かった。
相談・通報は施設関係が前年度から倍増、家庭内も1.2倍に増えた。県介護保険室の末吉智子室長は「意識が高まり相談が増えた。今後も関係機関と連携し防止に努めたい」と話した。