同居する長男を包丁で刺殺したとして殺人の罪に問われた鹿児島市東坂元3丁目、飲食店手伝いの被告男(71)の裁判員裁判論告求刑公判が29日、鹿児島地裁(小泉満理子裁判長)であり、検察側は懲役12年を求刑した。判決は12月6日。
被告は、殺意はなく背中を刺した記憶もないと主張している。検察側は「太ももよりも、より深く刺した背部のことを覚えていないのは不自然」と指摘。「被害者の言動に腹を立て、衝動的に殺意を抱いて犯行に及んだ。安易で短絡的な意志決定で、強い非難に値する」と論告した。
弁護側は、痛めつけようと太ももを刺した行為は傷害罪が成立するとした上で「背部を刺した記憶がないため、殺意の有無は行為ごとに判断するのが妥当」として適切な判決を求めた。
起訴状などによると、被告は2023年11月24日午後7時34分ごろから同48分ごろまでの間、自宅で長男=当時(48)=の太ももや背中を刃体約18センチの包丁で突き刺し、出血性ショックで死亡させたとされる。