支持者と握手を交わす八板俊輔さん=2日午後9時43分、西之表市西町
任期満了に伴う鹿児島県西之表市長選は2日投開票され、現職の八板俊輔氏(71)が新人5人を抑えて3期目の当選を果たした。八板氏は馬毛島の自衛隊基地整備について賛否に触れず、市民の安心安全確保に向けた国との継続的な協議の重要性を訴え、支持をつなぎ止めた。新市議14人も決まった。
馬毛島を巡る対応への不満から、2017年に並ぶ最多6人の戦いとなった。いずれも無所属。八板氏は過去2度の選挙で基地整備に反対の立場を取っていた。今回、事実上の黙認姿勢が信任されたことで、「基地反対」の流れは弱体化が避けられない。
基地整備が始まってから初めての市長選。市民生活への影響が顕在化する中、基地との向き合い方を踏まえ、市政をどうかじ取りするかが最大の焦点だった。基地整備に賛成の立場を示す会社役員池田恵衣子氏(70)と、実質的に一騎打ちの様相となった。
八板氏は「基地ができるのであれば、失うものを超える恩恵を引き出す。国に正確な情報と判断材料を求めていく」と主張。3期目を「仕上げのとき」に位置付け、保守層を取り込みながら支持離れを防いだ。
池田氏は「基地の賛否を言う時期は終わった」とし、1次産業の再生や教育・福祉の充実を掲げた。自民党の友好団体を中心に浸透を図ったが、582票差をつけられた。
唯一反対を掲げた医師三宅公人氏(72)は、馬毛島での米軍機訓練の中止を前面に打ち出したものの、基地整備が進む現状から反対派市民をまとめきれなかった。
14議席を17人で争った市議選は現職9人、新人2人、前職1人、元職2人が当選した。党派は立憲民主1、共産1で、他は無所属。
当日有権者数は1万1947人(男5771人、女6176人)。市長選の投票者総数は8589人(有効8513、無効76)。投票率は71.89%で、前回21年を8.28ポイント下回った。
市議選の投票者総数は8589人(有効8476、無効113)。投票率は71.89%で前回を8.26ポイント下回った。