ヨロンヒモイカリナマコの標本(和歌山県立自然博物館・山名裕介氏撮影)
鹿児島大の佐藤正典名誉教授(68)=底生生物学=や和歌山県立自然博物館などの研究チームは、日本に生息するヒモイカリナマコ属が6種あると判明し、うち4種は新種だったと発表した。長くヒモイカリナマコは1種だけだと考えられてきたが、骨片の形態を調べて分かった。1月中旬、動物分類学の国際学術誌に掲載された。
佐藤氏らが約30年かけて鹿児島県内で収集した標本などを活用した。四つの新種は九州、琉球列島で見つかり、うち2種は与論島と鹿児島市の磯海岸で採集されたことにちなんで「ヨロンヒモイカリナマコ」「サツマヒモイカリナマコ」と名付けられた。体長10センチ前後、直径1センチ弱。半透明の体色で干潟などに生息している。
ナマコは海底有機物を食べて環境を守る役割を果たしているが、日本では研究が遅れており、何種類が生息するのか正確には分かっていないという。今回の研究では、ヒモイカリナマコを正確に分類できるよう検索表も発表した。佐藤氏は「まだまだ多くの新種が隠れているだろう。鹿児島の生物多様性の豊かさを表している」と話した。