1000円の積み増しで1100円分利用できる交通ICカード「ラピカ」
鹿児島県内で使える交通ICカード「ラピカ」「いわさきICカード」で積み増し時に1割加算するサービスを、発行する民間バス事業者や市交通局などが廃止に向け検討していることが5日、分かった。鹿児島交通、南国交通、JR九州バスの3社は市などに対し、経営改善を理由に10月をめどに廃止を求める要望書を提出している。
両ICカードは、2005年4月に運用を始め、利用促進を目的に加算サービスも実施している。加算分は同局や事業者が補てんする仕組み。発行数と利用回数が多い交通機関ほど負担が大きくなり、年間数千万円規模に上る民間事業者もある。
3社連名の要望書は1月14日付。利用者減少や新型コロナ禍、運転手不足、燃料費高騰で経営が悪化している中、「事業者負担のサービスが重荷」と早期廃止を求めている。提出先によると、市側も廃止に向け検討を進めている。
23年度の市包括外部監査も、市交通局が市バス運賃を値上げした一方、1割加算が併存する状況について「矛盾を感じざるを得ない」と指摘していた。
民間事業者の関係者は「多くの人に乗ってもらおうとサービスを始めたが、乗務員の待遇改善や設備投資で必要経費が増えている。事業継続のため、1割加算は廃止し、他のサービスの原資にさせてほしい」と理解を求めた。