これが民放テレビの気骨と執念だ 半世紀にわたる苦悩を描いたドキュメンタリー映画で製作者が問う「この国の司法」

2025/02/11 11:27
映画「いもうとの時間」の製作過程を説明する阿武野勝彦プロデューサー(左)=鹿児島市のマルヤガーデンズ
映画「いもうとの時間」の製作過程を説明する阿武野勝彦プロデューサー(左)=鹿児島市のマルヤガーデンズ
 名張毒ぶどう酒事件を扱ったドキュメンタリー映画「いもうとの時間」(鎌田麗香監督)が8日、鹿児島市のガーデンズシネマで上映され、プロデューサーの阿武野勝彦さん(65)が製作過程や司法のあり方について語った。

 1961年に三重県名張市で女性5人が死亡した事件。一審の無罪判決が高裁で覆り、その後死刑が確定した。これまで10回の再審請求では、第7次請求で名古屋高裁が2005年に再審開始決定を出したが、異議審で取り消された。奥西勝元死刑囚は15年に89歳で病死し、妹の岡美代子さん(95)が再審請求を引き継いでいる。

 東海テレビ(名古屋市)は同事件を題材にしたドキュメンタリーを継続的に製作し、映画は4作目。これまで撮影してきた映像や住民の証言、無罪判決を書いた裁判官の妻へのインタビューなどを交え、半世紀以上にわたる妹の苦悩を描いた。

 阿武野さんは、同事件のドキュメンタリーを、東海テレビの「背骨」と表現。「この国の司法は硬直化し、裁判官のやる気にかかっている。事件に関わった裁判官の顔をすべて出した。司法の番人であることを認識してほしい」と語った。

 対談した元MBCキャスターの陶山賢治さん(75)は「映像ドキュメンタリーの決定的な強さを感じた」「同じ事件を何年も追いかける記者やディレクターが地方の民放の将来をつくる一歩になる」などと話した。

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