県が売却検討「体育館と武道館」解体費差し引き売却益は20億円 一般競争入札想定、500億円見込む新総合体育館事業に充当へ

2025/02/12 07:00
敷地の売却が検討されている県体育館=11日、鹿児島市下荒田4丁目
敷地の売却が検討されている県体育館=11日、鹿児島市下荒田4丁目
 鹿児島県が現在の県体育館と県武道館の敷地(いずれも県有地)の売却益を計約20億円と見込んでいることが11日、県関係者への取材で分かった。見込みの解体費用を差し引いた額。県は、500億円近くに増額することが見込まれる新総合体育館事業に充当するため、売却を検討している。

 一般競争入札を想定しており、2024年に売却した県農業試験場跡地(鹿児島市)のように最低売却額を大きく上回る可能性もある。未利用財産の洗い出しも進めている。

 県体育館(下荒田4丁目)は、鹿児島市出身で飯野海運社長だった故俣野健輔氏の寄付1億1000万円を基に1960年に建設された。敷地面積は9932平方メートル。

 敷地の大半は都市計画法で第1種住居地域に分類され、延べ床面積3000平方メートルまでの店舗、事務所、ホテルなどが建てられる。県体育館は約6000平方メートルで、現行の建築基準法では「既存不適格建築物」に該当。建設時の基準は満たしているため使用に問題はなく、建て替えも認められるが、面積が1.2倍を超えないよう制限を受ける。

 72年建設の県武道館(与次郎1丁目)は商業地域で、敷地面積4649平方メートル。

 新体育館の整備地は鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地で、現体育館の4.7倍となる延べ床面積約3万平方メートル。8000席以上の観客席があるメインアリーナや500席程度のサブアリーナ、武道場・弓道場をそろえる。全国大会が開催できるよう、フロア面積は国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の施設基準などを踏まえた。

 本港区は鴨池公園のような都市公園区域ではないため、施設整備費に充てられる国の社会資本整備総合交付金は活用できない。国の補助金は3億円程度となる。

 基本構想で最大245億円としていた事業費は昨年2月に313億に増額したものの、労務費や建設費、金利の高騰などで9月の入札は不調となった。県は民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法を取りやめ、個別発注する従来型手法への転換も検討している。

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