塩田康一知事が2025年度一般会計当初予算案を発表した記者会見=7日、県庁
塩田知事が2期目に入って最初の予算編成を点検する。
堅調な企業業績や賃上げに伴う自治体の税収増は、鹿児島県にも及んでいる。
総額8527億円の2025年度一般会計当初予算案で、歳入の柱となる県税は24年度当初比6.2%増の1684億円となった。国が24年度に実施した定額減税がなくなることも押し上げ要因となり、4年連続で過去最高を更新。伸び幅も前年、前々年の4億円台を大きく上回る約98億円で、15年続けて財源不足ゼロの予算編成をけん引した。
税収が増えると、通常は減る仕組みの地方交付税も25年度は1.5%増を見込む。交付税は政府が決めた総額を各都道府県で分け合うため、鹿児島県より税収などが伸びる自治体が多ければ、相対的に配分が増える。
財政課は「県税も交付税も増えるのはイレギュラー。単年度ベースでみると財源は余力があるかもしれないが、予断を許さない状況は変わらない」とする。
自主財源比率は36.8%にとどまり、全国平均の49%(23年度決算ベース)を大きく下回る。交付税など国の財源に依存せざるを得ない脆弱(ぜいじゃく)な財政構造は続く。
借金返済に充てる公債費は、償還を終える県債が増え近年は減少傾向にある。とはいえ、毎年1000億円を上回り、借金の総額(県債残高)は依然1兆円を超える。財政規模が近い熊本など8県の平均より1200億円ほど多い。
高齢化に伴い、扶助費増は当面避けられない。加えて、老朽化した県有施設の改修費に多額を要する見込みだ。塩田康一知事は予算案を発表した7日の会見で「老朽化対策の総額を予測しているわけではない。その都度財源を確保しながらやっていく」と述べた。
ベテラン県議は「500億円近くまで膨らむとされる新総合体育館の整備も控え、計画的に財源を確保していかないと県政運営は立ちゆかなくなる」と指摘。「限られた予算を物価高や人手不足に苦しむ県民、事業者に効果的に配分できているのか。事業の優先度の見極めは一層重要になる」と話す。