値上げが続いてもすぐ売り切れてしまうコメ…備蓄米放出に消費者「品薄解消に期待」 一方で首をかしげる集荷業者も

2025/02/15 07:00
米が並ぶのを待つ買い物客=14日、鹿児島市のAコープいしき店
米が並ぶのを待つ買い物客=14日、鹿児島市のAコープいしき店
 農林水産省が政府備蓄米放出の概要を発表した14日、鹿児島県内の小売店や消費者からは品薄解消への期待が聞かれた一方、集荷業者からは効果を疑問視する声も上がった。

 同日正午ごろ、鹿児島市のAコープいしき店の米売り場はほぼ空だった。店員がこの日入荷したコメを運んでくると、並べるそばから客が手に取っていった。

 同店は水曜日に県産米120袋、水曜・日曜以外は県外産20袋(いずれも5キロ入り)を入荷。グロサリー部の中川路由明主任(44)は「発注しても欲しい数量は入らない。最近は商品を並べて1時間もしないうちに売り切れる」と明かす。

 エーコープ鹿児島(同市)によると、年明け以降、県内のAコープ全店でコメの販売を制限する。食品日配課の穂満公聖さん(40)は「秋まで持たない恐れがあった。備蓄米が放出されれば量が出てくる期待感はある」。

 品薄でコメの価格は値上げが続く。総務省の小売物価統計調査では、1月のコシヒカリ(5キロ)は4185円で前年の1.7倍。小中学生2人を育てる同市の主婦、本多隆子さんは「食べ盛りの子どもがいると食費が大変」とぼやく。食卓には麺類が並ぶ頻度が高くなり、買うコメは5キロ袋から2キロ袋に切り替えた。「早く備蓄米が行き届き安くなってくれれば」と願う。

 JA県経済連によると、2024年の県産米は猛暑による高温障害や台風の影響もあり、集荷率は8割弱だった。担当者は「備蓄米の放出で扱うコメは増えるかもしれないが、鹿児島にどれくらい回ってくるのか分からない」と話す。

 県内のある集荷業者は、原則1年以内に同量を買い戻す条件に「現時点でコメを集められないのに、備蓄米を仕入れたとして1年後にちゃんと返せるのか。価格の動向も読めない状況でどれだけ応札するか」と疑問を呈す。「どこも高値でコメを集めているので安く売ったら差損が出る。相場が下がってほしくないというのが業者の心理では」と指摘した。

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