政府の火山調査委員会(委員長・清水洋九州大名誉教授)は17日、重点的に現状を評価する火山に選定した鹿児島県内の桜島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島、口永良部島など8カ所について、火山活動を詳細に分析し調査研究方策を取りまとめた。桜島は「大規模噴火へ直ちに移行する兆候は認められない」などとした。
評価の結果、8火山いずれも直ちに噴火の切迫性が高まる傾向や、噴火の規模が拡大して住民避難が必要になる兆候は認められなかった。今後、調査研究方策に基づいて具体的な観測計画などを部会で検討する。
桜島は姶良カルデラの地下深部でマグマの蓄積が続く一方、桜島直下へのマグマの移動は極めて少ないと分析。この状態が継続する場合、1990年以降の噴火活動の低下傾向の中で「活動低下と活発化を繰り返す」とした。
活発化のシナリオとして(1)南岳や昭和火口の爆発活動の激化(2)南岳山頂からの溶岩流出(3)山腹における大規模噴火-を明示。どこに向かうかは桜島直下へのマグマの貫入速度により、大規模噴火では多量の火砕物や火砕流、溶岩流に加え、大地震や海底噴火による津波も想定されるとした。
薩摩硫黄島は少量の火山灰を噴出する程度の噴火、口永良部島は古岳と新岳の両火口とも小規模噴火の可能性があるとした。諏訪之瀬島は地殻変動が認められず、地震活動が低調な状況では現在のような小規模噴火が繰り返されるとした。
その他の評価対象は、硫黄島(東京都)、焼岳(長野、岐阜両県)、岩手山(岩手県)、八幡平(岩手、秋田両県)。