新緑の新芽を機械で摘み取る農家=2024年3月、西之表市古田
2024年産の鹿児島県の荒茶生産量は、前年比3%増の2万7000トン(シェア37%)で、1959年に都道府県別統計を開始して以来、初めて静岡県(2万5800トン)を抜き全国1位となった。農林水産省が18日公表した。一番茶は静岡に1550トンの差をつけられたものの、堅調なドリンク原料需要に支えられ、二番茶後半から盛り返した。
鹿児島県によると、一番茶は静岡が1万トン(前年比10%増)へ増産したのに対し、鹿児島は前年並みの8450トンだったが、茶価低迷を受けて静岡が二番茶以降で減産。ペットボトル茶などのドリンク原料需要が強まり、鹿児島が二番茶後半から生産量を伸ばした。
鹿児島の摘採面積は前年並みの7790ヘクタール、荒茶加工前の生葉収穫量は静岡より1万1400トン多い13万900トン(同3%増)だった。10アール当たり生葉収量は、前年から4%増えて1680キロとなり、主産地平均(1200キロ)を大きく上回った。
高齢化や茶価低迷で生産量が減少傾向にあった静岡は、新型コロナウイルス禍以降も減産が続き、2023年産では鹿児島との差が過去最少の1100トンに縮まっていた。
鹿児島は荒茶と生葉を合わせた茶産出額では、19年に一度だけ日本一になったものの、生産量では静岡の後塵(こうじん)を拝してきた。
塩田康一知事は「生産者や茶業関係者の努力による快挙。多様なニーズに対応した生産、国内外の販路開拓などを引き続き支援していく」とコメントを出した。