サイクルシティ誓言30年・南さつま市が利用者増へギアアップ…乗れない子も2時間でマスター講習、購入補助にガイド養成 自転車通して環境に優しいまちづくり

2025/02/21 15:30
職員の指導のもと自転車の練習をする親子=南さつま市の吹上浜海浜公園
職員の指導のもと自転車の練習をする親子=南さつま市の吹上浜海浜公園
 旧加世田市から引き継いだ「サイクルシティ誓言」が11月で30周年を迎える南さつま市で、自転車を活用したまちづくりが再加速している。乗れない子を対象とした初の講習会が開かれたほか、高齢者向けツアーやガイド養成講座も。市は新年度から電動アシスト自転車やヘルメット購入を補助し、利用人口の増加を目指す。

 「乗れた、乗れた」。県立吹上浜海浜公園で9日にあったイベントで親子の歓声が響いた。同園と市観光協会が共催した初企画。勝正太さん(38)ら同園職員による乗り方教室には、小学生や保護者約15人が参加し、ほとんどの子が2時間でマスターした。

 鹿児島市の谷山小学校1年生は「初めて一人で乗れてうれしい」と喜び、母親も(32)も「感動した。安心して乗れる環境がいい」と話した。官民でつくるサイクルシティ南さつま推進協議会事務局の中村智洋さん=市総合政策課=は「自転車に乗れるようになった地として長く記憶に残れば」と期待する。

 市観光協会は2人乗りのタンデム自転車体験会を同時開催し、6人が挑戦した。南九州市の知覧小1年生は「母としりとりしながら走り、楽しかった」。同協会の後藤まどかさんは「視覚や身体に障害のある人も楽しめる。普及させたい」と意気込む。

■5月にサミット

 全国初の誓言以後、2001年には自転車を貸し出すターミナル「りんりん」が開所、世界室内自転車競技選手権大会も開かれた。03年には自転車専用「りんりんロード」が開通。1999年開始の自転車イベントは「ツール・ド・南さつま」として継続している。

 同推進協は昨年1月、自転車ツアーガイドの養成講座を開き、同11月末には高齢者向けツアーも企画。市内の各小学校は、交通安全こども自転車県大会の出場に向け、毎年練習を重ねる。今年5月には、自転車によるまちづくりに取り組む全国417市区町村長会によるシクロサミットを開催する。

■二酸化炭素削減も

 自転車の観光活用は進むが、車中心の地方にあって通勤通学など市民の利用増が課題だ。市は二酸化炭素排出削減につなげ、免許返納者らへ健康増進を兼ね乗車を促したい考えだ。

 2025年度の一般会計当初予算案に市は、電動アシスト自転車購入に際し上限5万円の助成を盛り込んだ。ヘルメット購入には1人3000円を補助する予算も計上した。本坊輝雄市長は「今後さらに人と自然に優しいサイクルシティ推進に努め、自転車のある日常や環境に優しいまちづくりに取り組みたい」と語った。

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