鹿児島県への提言を取りまとめた「魅力ある県立短期大学づくり検討委員会」=21日、鹿児島県庁
鹿児島県立短期大(鹿児島市)の活性化策を検討するため県が設置した有識者委員会(津曲貞利座長)の最終会合が21日、県庁であった。四年制化を求める声が上がる中、検討委は若者の県内定着に貢献している点を評価。「引き続き県立の短大として、資源を最大限活用し地域社会に貢献することが期待される」とする提言書を取りまとめた。
受験者減少に悩む鹿児島県立短期大(鹿児島市)の活性化に向け、県と県短は新年度、提言実現に向けた検討に入る。少子化に加え、短大離れが加速する中、四年制化せずに実効性ある具体策を打ち出せるかが問われる。
約1年にわたった議論は、「四年制化は前提としない」という県の意向をくんで進んだ。委員からも「短大のままできることはある」などと県を後押しする意見が出た。
教育内容が高校生のニーズに応えられていないという課題が洗い出せたことは意義がある。ただ、提言書が掲げるデジタル化への対応やリベラルアーツ教育などは、漠然とした印象が拭えない。独立行政法人化の是非も結論は出なかった。
中教審が答申したように、短大に限らず、多くの大学が定員割れする中、四年制化しても先行きは見通しにくい。だが、最初から議論に制約を課した県の姿勢に疑問が残った。
◇
有識者委員会の津曲貞利座長は会合後、報道陣の取材に答えた。主な質疑は次の通り。
-計5回の会合を振り返って。
「地域に根ざした県立短大で18歳人口をとどめ、鹿児島で活躍する人材をつくるという視点で議論ができた。県短は伝統があるが、今は少し地域で埋没しつつある。社会に向けてアピールが必要で、地域、高校、企業との連携が大事だ」
-期待することは。
「地域になくてはならない、鹿児島を支える若い人材を生み出す短大になってほしい」
-四年制化が必要との意見については。
「今回は県短という枠組みで、魅力創出の検討が使命だった。さらに人口が減少する中、これから大学をつくるのはリスクもある。4年間の学費納入は難しい人たちを、2年間で優れた人材に養成する必要性は、まだあるという意見もある。四年制化は県政で考えていくことだ」