バクテリアによる「自己治癒力」が長寿の秘けつ…ひび割れを自分で直すコンクリート鹿児島県内公共工事で活用、温室効果ガス排出削減にも期待

2025/02/25 06:30
自己治癒コンクリート製品が使われた薩摩川内市の用排水路(ヤマウ提供)
自己治癒コンクリート製品が使われた薩摩川内市の用排水路(ヤマウ提供)
 バクテリアの働きでひび割れを自動修復する「自己治癒コンクリート」を使った製品が鹿児島県内の公共工事で使われている。インフラの長寿命化や二酸化炭素(CO2)排出量削減が期待される。

 コンクリート製品メーカーのヤマウ(福岡市)が昨年11月、薩摩川内市樋脇の用排水路(延長152メートル)用の製品約80トンを納入した。県から受注し、鹿児島工場(霧島市)で製作した。東串良町で12月、同様の工事に使われ、今年3月には肝付町の工事で3例目の納入を予定する。

 ヤマウによると、自己治癒コンクリートは特殊培養したバクテリアを製造時に混ぜるのが特徴。ひび割れが起きると、内部にしみこんだ酸素と水分によってバクテリアが分裂を始めて炭酸カルシウムを排出、ひびを埋めるという。

 同社は2022年10月、自己治癒コンクリートの量産化に世界で初めて成功した「會澤高圧コンクリート」(北海道)と協定を締結し、使用許可を得た。

 自己治癒コンクリートを使った製品の耐用年数は約100年で、従来品の約65年と比べ長い。薩摩川内市と東串良町の工事分で、長寿命化により今後のCO2排出量が約13トン抑えられるという。

 ヤマウ鹿児島営業部の武謙治部長は「割高な価格など課題もあるが、温室効果ガスの排出量実質ゼロに向け使用箇所が増えるよう営業していきたい」と話した。

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