〈資料写真〉2024年11月26日、2段目エンジンが爆発した「イプシロンS」の燃焼試験=南種子町の種子島宇宙センター(JAXA提供)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、昨年11月に固体燃料ロケット「イプシロンS」のエンジン燃焼試験中の爆発事故で損傷した種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の設備について、復旧は秋ごろになるとの見通しを明らかにした。打ち上げには再試験が必須で、小型基幹ロケットの空白期間が長期化する恐れも出てきた。
JAXAが同日、東京で開いた原因調査状況の会見で説明した。事故では第2段エンジンが爆発し、エンジンを固定する装置や台車などの試験設備が損傷。作り直しが必要な設備もあるという。23年の秋田県での燃焼試験中にも爆発事故が起こっており、秋田の設備の復旧には数年かかる見込み。
JAXAは、事故原因については現在も「調査中」とした。再試験の実施時期について、イプシロンの井元隆行プロジェクトマネージャは「今は原因究明をしっかりやるべきだ。現時点では言えない」と話した。
◇先行き見えず、気をもむ肝付町
イプシロンSの射場は、肝付町の内之浦宇宙空間観測所。当初は23年度の予定だったが、22年のイプシロン6号機の打ち上げ失敗などを受けて延期されている。
肝付町の永野和行町長は「なるべく早い再試験や打ち上げに期待したい」と話す一方で、「官民問わずロケットを打ち上げられる体制を築いてほしい」と要望。「実現すれば、関連産業の誘致など大隅全体の活性化につながる」と語った。