純国産のバナメイ稚エビ養殖成功 敷地内から湧く温泉水活用し光熱費縮減、完全閉鎖型循環で環境対策 指宿市・シナジーブリーディング

2025/02/27 15:30
「安心安全な稚エビを届けたい」と話す中本雄三社長=指宿市西方
「安心安全な稚エビを届けたい」と話す中本雄三社長=指宿市西方
 鹿児島県指宿市西方で海産物の陸上養殖を手がけるシナジーブリーディング(中本雄三社長、本社・大阪市)が、純国産にこだわったバナメイエビの稚エビ生産に成功した。自社で育てた親エビから卵をかえし、出荷用の稚エビを次の親エビとして育てるサイクルを確立。国内の大学や企業向けに販売を始めた。

 同社は2019年、指宿市の養鰻(ようまん)場跡地で陸上養殖を開始。生産設備には養殖の本場タイの技術を導入するほか、敷地内の泉源から引く温泉水を活用することで、プール内の温度を一定に調整し光熱費を抑えるなど低コスト化を図る。淡水のオニテナガエビや海ブドウの養殖にも取り組む。

 バナメイエビは当初、仕入れた稚エビを販売用に育てていたが、約1年半前から親エビづくりに着手。稚エビの中から栄養状態がよく背曲がりの少ない個体を厳選して育て、その卵からふ化した稚エビ約2万匹を今年1月下旬、純国産の第1弾として出荷した。

 同社によると、国内の養殖用稚エビの大半は輸入に頼っており、日本近海に存在しない病気の侵入リスクなどが伴う。自社施設での一貫生産なら、このような懸念を低減できる。さらに完全閉鎖型循環で汚水を施設外に排出しないため、自然環境にも優しいという。

 同社は年内にも同市東方にプラントを移設し、設備を拡充させる計画。中本社長は「いい親エビをつくり、安心安全で早く成長する稚エビを広く供給していきたい」と展望を語った。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >