24年問題は食卓にも影を落とす…「高く売らないと採算が合わない」。4月には新たな努力義務も加わる。「小規模農家には耐えられないだろう」

2025/03/04 06:03
荷積み作業を行うトラック運転手=東串良町のJA鹿児島きもつき
荷積み作業を行うトラック運転手=東串良町のJA鹿児島きもつき
 物流の2024年問題は、荷主側にも改革を迫る。

 ピーマンとキュウリを九州や中国、関西に出荷するJA鹿児島きもつき東串良選果場(東串良町)では、資材や電気代高騰で生産コストが年10~20%程度上昇。さらに24年問題を受け運送コストも上がりつつある。東串良町園芸振興会ピーマン部の下新原忍部長(60)は「高く売らないと採算が合わない」とこぼす。

 消費地には毎シーズンほぼ決まった数量を届ける。もし滞れば、消費者にも迷惑がかかる。「生産コストを上回らないと生産者が減る、と危機感を伝えている」と下新原部長。仲卸業者やスーパーのバイヤーらには、これまでも価格転嫁などの交渉をしてきた。「24年問題以降は耳を貸してくれるようになった」

 ただ安心はできない。政府は今年4月、物流効率化法を一部改正し「荷待ち・荷役時間の短縮」の努力義務を荷主に課す。同選果場では現在、運転手が無料で荷積み作業を行うが、次シーズンからは有料となり選果場で賄う。フォークリフトの操縦資格者らを雇わなければならず、負担はさらに増す。

 昨年9月からは運送業者と協議し、大阪分は志布志港からフェリーで運ぶ。今後は中継拠点活用のほか、キュウリの仕分けや荷積み作業ではロボットの導入も検討する。下新原部長は「協力したいが、費用面が原因で踏み切れない。価格転嫁だけでは賄い切れず、規模が小さい生産者らには厳しいだろう。せめて高くなる輸送コスト分だけでも行政の支援があれば」と話した。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >