九州沖縄の新聞・TV14社、女性管理職はわずか11% 10社は女性役員ゼロ

2025/03/07 06:30
 南日本新聞社は6日、九州・沖縄各県の新聞社と鹿児島県内の民放テレビ局計14社に実施した社内のジェンダー格差を巡るアンケート結果をまとめた。管理職に占める女性の割合は平均11%で、役員に女性がいないのは10社に上る。意思決定層の大半を男性が占める実態が明らかになった。

 新聞10社とテレビ4社に2月1日時点の状況を尋ね、全社から回答を得た。

 女性管理職が1割に満たないのは南日本新聞社(9%)など8社だった。

 組織内で構成比が約3割になると意思決定に影響を与えるとされ「クリティカル・マス」と呼ばれる。女性管理職が30%の琉球新報社と28%の鹿児島テレビ放送(KTS)がクリティカル・マスに達していた。

 女性役員は1割台が3社で、最高は琉球新報社の33%だった。7社が管理職に占める女性の割合の目標値を定め、役員に数値目標がある社はなかった。

 2024年度(2月末まで)の男性育休取得率は熊本日日新聞社、鹿児島読売テレビ(KYT)など6社が100%で、4社が60~70%台。南日本新聞社など3社がゼロだった。

 ジェンダー平等に向けた取り組みでは、パートナー証明書などに基づき慶弔金や家族手当を支給▽子どもを養育する社員を対象に短時間勤務の期間拡大▽履歴書に性別記入の取りやめ▽旧姓の通称使用-などがあった。

 厚生労働省が民間企業などを対象に全国的に実施した23年度調査によると、係長相当職以上の管理職に占める女性の割合は15%、役員は20%。政府は東京証券取引所の最上位プライム市場に上場する企業の女性役員比率を25年までに19%、30年までに30%以上にする目標を掲げる。

■回答社一覧
 新聞 西日本新聞社、佐賀新聞社、長崎新聞社、大分合同新聞社、熊本日日新聞社、宮崎日日新聞社、南日本新聞社、南海日日新聞社、沖縄タイムス社、琉球新報社▽テレビ 南日本放送(MBC)、鹿児島テレビ放送(KTS)、鹿児島放送(KKB)、鹿児島読売テレビ(KYT)

■性差別解消へ情報公開を=東京大大学院(メディア研究)林香里教授
 性別にかかわらず全ての人の人権が尊重される社会の実現に向けて問題提起するのがメディアの役割だ。女性管理職が少ないのは、社内で女性の声を聞けていない表れ。取材対象となる女性も軽視され、女性に関わる問題が報じられないことにつながる。組織内の格差に目を向ける必要がある。

 女性管理職の比率は、企業のビジョンを示す重要な指標の一つ。社内のジェンダー格差解消が課題であることを受け止め、人事評価が適正か、価値として何を重視するか議論するべきだ。変わる努力をしなければ新聞・テレビ離れは止まらないだろう。

 単に女性社員を増やすだけでは、格差が生まれる構造は解消されない。経営陣が変革の必要性やメリットを理解し、問題意識を持たなければならない。

 目標を決め、現状を外部に公表することが第一歩だ。現段階で性別による偏りがあったとしても、刷新の意思表明になる。情報公開の重要さはメディアが一番分かっているはずだ。

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