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鹿児島県民の2023年の死因で、がんに次いで多いのが、心筋梗塞や心不全などの心疾患だ。県内では脳出血や脳梗塞など脳血管疾患の患者も多い。これら循環器病は健康寿命にも関わる。県は昨春、脳卒中・心臓病等総合支援センターを鹿児島大学病院に開設した。センター長を務める鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学の大石充教授(61)は「循環器病は生活習慣の改善で予防できる」と力を込める。
23年人口動態統計によると、県内では心疾患で3430人、脳血管疾患で1769人が命を落としており、死因全体の21.5%を占める。厚生労働省の20年調査では、人口10万人当たりの脳血管疾患の推計患者数は全国で2番目に多い。
大石教授は「日本人の死亡危険因子の上位は、喫煙、高血圧、運動不足。これらは循環器病にも大きく影響する」と指摘する。
脳卒中などを起こす高血圧要因の一つが、塩分の過剰摂取だ。20歳以上の1日当たり食塩摂取量の22年度の県平均は10.2グラム。日本高血圧学会が理想とする6グラム未満の1.7倍だ。大石教授は「甘辛く味の濃い食べ物が多いからでは」と分析し、塩分の排出を促すカリウムの摂取を勧める。「野菜や果物に多く含まれる。ゆでると減少するので、生や蒸すなどして食べて」と話す。
運動も重要だ。心筋梗塞の一因となる悪玉コレステロールを回収する善玉コレステロールは、有酸素運動で増えるという。「週150分を目標に、1日30分以上のウオーキングを意識するといい」と助言する。血圧を下げる運動として、「壁スクワット」が有効とした。
他にも、全身疾患に関与する歯周病菌を減らすため毎日の歯磨きや定期的な歯科検診といった口腔(こうくう)ケアに力を入れるなど、日常生活で意識できる方法はある。大石教授は「まずは自分の体調と生活習慣を見直して。検診で数値に異常があれば一度病院を受診してほしい。しっかりケアをすることが予防につながる」と語る。