右半身に発症した帯状疱疹。早めに治療すると神経のダメージも少ない(島田ひふ科提供)
皮膚に痛みを伴う発疹ができる帯状疱疹(ほうしん)。成人の9割以上がウイルスを保有し、約3人に1人が80歳までに発症するとされる。4月から、65歳などを対象に予防のためのワクチンの定期接種も始まる。鹿児島市の島田ひふ科院長で、日本臨床皮膚科医会理事を務める島田辰彦医師に主な症状や対策を聞いた。
帯状疱疹は、体内の神経細胞に潜む水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスが原因。水ぼうそうにかかったことがある人は、ウイルスが体内に残っている。加齢やストレスなどで免疫力が低下するとウイルスが活発化し、腹や胸、背中など左右のどちらかに発疹が現れるのが特徴だ。日常生活に支障が出るほどの痛みが生じることもある。
症状はまず、ピリピリ、チクチクした痛みを感じる。ウイルスが神経を通って出てくると、赤くなって小さな水疱が帯のような範囲で現れる。全身どこでも発症する可能性がある。時には皮膚症状が治まった後も痛みが長く残る「帯状疱疹後神経痛」に移行することがあり、神経のダメージが少ない早期の治療が大切になるという。
ただ、痛みや赤みが出る初期段階では、帯状疱疹かどうか、病院に行くべきか判断に迷うこともありそうだ。島田院長は「帯状疱疹の痛みは体を温めると和らぎ、冷やすと強くなる傾向がある。皮膚症状が出る前でも、痛みが診断の手がかりになる」と話す。
治療はなるべく早く抗ウイルス薬を服用するのが効果的だ。皮膚症状は1~2週間程度で回復するという。島田院長は「体内のウイルスはいつ再活性化し、帯状疱疹が出てくるか分からない。特に高齢者は免疫力が低下し、重症化しやすい」と注意を促す。免疫力低下を防ぐために、食事や睡眠をきちんと取り、適度な運動を心掛けたい。