薩摩剣八郎さんの著書「俺は俳優だ~着グルミ役者と呼ばれて30年」
鹿児島県出水市高尾野出身で、映画「ゴジラ」シリーズなどでゴジラのスーツアクターを務めた薩摩剣八郎さん=本名前田靖昭さん、2023年12月死去、享年76歳=の著書「俺は俳優だ~着グルミ役者と呼ばれて30年」の贈呈式が21日、母校の江内中学校であった。寄贈した弟子で鹿児島市の自営業潟山類=芸名薩摩大悟=さん(39)は「本が古里に届き、薩摩さんも喜んでいると思う」と語った。
図書は薩摩さんの東京の自宅にあり、託された潟山さんは「古里でぜひ使ってほしい」と思い立った。ゴジラや撮影所のエピソードが盛り込まれ、子どもの頃を振り返るインタビューも掲載。04年にワイズ出版から発行された。208ページ。
出水市は寄贈された23冊を市立学校や市立図書館に配布。「人生にはドラマあり」「がんばいやんせー」などと薩摩さんのサイン入りの2冊は、母校の江内中と江内小に贈られた。
潟山さんは式で「薩摩さんは世界を代表する体演者で、郷土愛も強かった。貴重な遺品である本が里帰りできてうれしい」と述べた。江内中の福島三鈴校長(57)は「生徒は人柄や思いを本から感じ取ってほしい」。江内小の豊島秀世校長(52)は「偉大な先輩が活躍していたことを児童に知ってほしい」と話した。
薩摩さんは、製鉄会社勤務を経て芸能界入りし、三船プロダクションなどで俳優として活動した。1984~95年の「ゴジラ」シリーズ7本では、着ぐるみの中に入りゴジラとして出演。わきを締めて斜に構える示現流スタイルは「薩摩ゴジラ」の異名で知られ、一時代を築いた。