大隅半島南端の過疎の町支えた唯一の電気工事店、一人で切り盛り57年の営業に幕 80歳船倉さん「これからは地域の困りごと手伝って恩返し」 南大隅町佐多

2025/03/30 15:30
電灯の取り換え作業をする船倉浩さん=南大隅町根占
電灯の取り換え作業をする船倉浩さん=南大隅町根占
 鹿児島県南大隅町佐多伊座敷で60年近く続いた「船倉電気商会」が3月末で閉店する。佐多唯一の電気工事店を一人で営んできた船倉浩さん(80)は「地域のおかげでここまで来ることができて、感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 船倉さんは大根占町(現・錦江町)出身。南大隅高校を卒業後、旧根占町の電気店で働いた。電気店の少なかった佐多地区で1968(昭和43)年に創業した。

 改装・新築した家の配線、電灯の取り換えなどの仕事だけではなく、佐多町ソフトボール協会の理事や校区民会長を務め、消防団でも活動。地域密着の姿勢を貫き、住民から親しまれた。

 2年ほど前、膝が悪くなり人工関節となった。動くことがきつくなり、引退を決めた。町シルバー人材センターでの仕事は続け、道路脇の草刈りなどで汗を流す。船倉さんは「最近は周囲で空き家が増え、店もなくなり、寂しくなってきた。引退して時間ができたら、掃除や困りごとの手伝いをして地域に恩返しをしたい」と話した。

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