新燃岳火口周辺の地表の温度などを確認する気象庁機動調査班=30日、霧島市霧島田口(鹿児島地方気象台提供)
鹿児島、宮崎両県にまたがる霧島連山・新燃岳(1421メートル)の火山活動が高まった状態にあるとして、鹿児島地方気象台は30日、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。火山性地震が急増し、山体膨張を示す地殻変動も観測された。警戒レベルが3になるのは2018年6月以来7年ぶり。鹿児島県は火口から半径4キロ以内を立ち入り規制し、大きな噴石や火砕流に警戒を呼びかけている。
気象台によると、新燃岳付近の地下の膨張を示すと考えられる動きが昨年11月から続き、火口直下を震源とする火山性地震の増加を受け、12月に警戒レベルを2に引き上げていた。
増減を繰り返していた火山性地震は、今月28日に再び増加し、29日は251回(速報値)発生。30日午前2時50分ごろ、山体の膨張を示す傾斜計の変化があり、同56分からは火山性微動が10分程度継続した。
気象台は、火山性地震の回数が基準の100回を上回り、200回を超えたため、警戒範囲を火口から4キロに拡大した。大きな噴石が火口から4キロ、火砕流が2キロまで達する可能性があり、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が降る恐れがある。11年と同様に、爆発に伴う空振で窓ガラスが割れる恐れもあるとして警戒を呼びかけている。
気象庁は同日、現地に機動調査班を派遣したが、上空の風が弱く火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は算出できなかった。火口内の白色噴煙の量がわずかに増加し、噴煙の高さは火口縁上200メートルに達した。
県は災害警戒本部を設置。県道3線(小林えびの高原牧園、霧島公園小林、霧島公園)、霧島市道永池湯之野線を通行規制した。
新燃岳では08年8月、17年ぶりとなる小規模噴火が発生。11年1月には約300年ぶりのマグマ水蒸気噴火が起きた。18年6月を最後に噴火は発生していない。