休日の部活、誰が教えるの?…「地域移行」から2年、認知度低く顧問の先生を助ける指導者の登録伸び悩む

2025/04/01 17:00
地域指導員の久保譲さん(奥)が関わる樋脇中サッカー部の練習=薩摩川内市の丸山自然公園
地域指導員の久保譲さん(奥)が関わる樋脇中サッカー部の練習=薩摩川内市の丸山自然公園
 公立中学校の休日部活動を民間のクラブや指導者へ委ねる「地域移行」が始まって2年が経過した。鹿児島県内でも自治体やクラブによる試行錯誤が続くが、指導者不足の課題は残ったままだ。

 「ボールは誰がもらうの」「カバーに入って」。土曜日の朝、薩摩川内市内のグラウンド。練習する樋脇中サッカー部員に地域指導員の久保譲さん(45)が声をかけていた。指導6年目。試合がある週末は選手への指示やミーティングだけではなく、審判もこなす。

 顧問の武田健教諭(36)は「継続的に専門的な指導をしてもらい練習も充実する」と感謝する。

 薩摩川内市教育委員会は2023年、部活動顧問を務める教職員を手助けしようと、顧問を助ける指導員の人材バンクを設立。業務を同市の総合型地域スポーツクラブ「川内スポーツクラブ01(ゼロワン)」に委託した。久保さんも登録した1人だ。

 現在同市には義務教育学校1校を含む11中学校があり、昨年度は目標である20の運動部活動に人員を配置。ただ、市民の認知度はまだ低く、人材バンクの登録数は伸び悩んでいるという。

 学校や生徒の数が県内で一番多い鹿児島市でも、事情は同じだ。

 同市では昨年度、地域移行について総合型地域スポーツクラブが指導する例など3モデル7パターンの実証事業を行った。「専門的な指導を受けられた」「教員の負担軽減になった」という肯定的な意見もあった一方、課題も出た。

 担当者は「今回はモデル地域が狭かった。市内全域で実施する時に人材をどう確保するか。要件を整理した上で、ロードマップを示しながら周知を徹底していく必要がある」と話す。

 県内には現在、総合型地域スポーツクラブが59ある。日本スポーツ協会は2025年度から、地域移行の受け皿となるクラブの質向上を目指した認証制度を始める。

 認証は4年ごとの更新制。「指導者の質の確保」「収支計画の策定」「安全管理体制の確立」「保険の加入」など8項目の基準で審査する。

 ゼロワンの下門信久理事長は「地域クラブの信頼性を高めるのには効果がある。それが指導者の確保にもつながると思う」と期待する。

 地域クラブにアドバイスしている県スポーツ協会の永田智和さんは「学校や地域だけではなく、クラブが関与した方が人材確保ではメリットがある。指導者が参加しやすいように活動時間を変更するなど柔軟な対応があってもいいのではないか」と提案した。

■部活動の地域移行 教員の働き方改革を背景に、公立中学校の部活動指導を地域の民間スポーツクラブなどに移す動き。2023年度から段階的に始まった。25年度末までに達成予定だったが、「可能な限り早期の実現」となった。

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