横断歩道を渡って登校中の小3男児、左折車にはねられる…信号は青でも通学路に潜む死角、入学式控え「親子で確認を」

2025/04/05 17:05
通学路の交差点に、地域住民が独自に設けた「とまれ」の路面標識=3日、鹿屋市寿5丁目
通学路の交差点に、地域住民が独自に設けた「とまれ」の路面標識=3日、鹿屋市寿5丁目
 鹿児島県内の多くの公立小学校が7日に入学式を迎えるのを前に、新1年生を交通事故から守ろうと、県警や学校が注意を呼びかけている。県内で2020~24年に事故に遭い死傷した小学生は379人で、うち登下校中は104人に上る。事故防止へ地域住民が主体となって工夫している事例もあり、各地で対策を進めている。

 3月12日朝、鹿児島市の交差点で、横断歩道を渡って登校中だった小学校の3年男児=当時=が、交差点を左折してきた車にはねられ足を骨折した。鹿児島西署によると、車と横断歩道の信号はいずれも青で、運転手の前方不注意が原因とみている。

 事故を受け、同校は翌13日、横断歩道を正しく渡る模擬授業を全クラスで実施。(1)左右を確認してから手を挙げて渡る(2)歩行者用信号が青になってもすぐに渡らない-などと指導した。

 保護者には、狭くて交通量も多い道路など、危険な地点を親子で確認するよう学校便りで求めた。

 4月に入学する新1年生は数日間、教諭と集団下校し安全な通学方法を学ぶ。教頭(46)は「安全意識を高めるには癖になるまでルールを教える必要がある。通学路を歩き、危険な場所を実際に目で見て体験させることが大切だと考えている」と話した。

 県警交通企画課によると、20~24年の小学生の死傷者のうち、1~2年生に当たる6~7歳は96人で全体の約4分の1を占めた。後迫克章・交通部管理官はドライバーの心がけも不可欠だとして、「信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら一時停止する義務がある。死角から子どもが飛び出す危険性もある。先を予測した慎重な運転に努めてほしい」と訴えている。

 地域住民が独自に進めている事故防止策もある。鹿屋市の寿小学校校区では、おやじの会が中心となり、通学路の交差点にスプレーで「とまれ」と描いた路面標識を設けている。足形のマークで、歩行者へ一時停止と左右確認を促す効果がある。3年前に始め、3月末は鹿屋署と全13カ所を見て回り、消えかかった部分を補修した。

 学校付近は道幅が狭く、歩道のない道路も多い。おやじの会の肥後盛継さん(46)は「子どもたちが面白がって足のマークを踏んで立ち止まり、左右確認をしている。安全への意識を地域全体で高められたら」と話した。

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