まちの酒蔵がなくなって半世紀…物産館店長の「地酒を再び」の思いに、県境超え酒造会社が共感した。多難乗り越え、青梅は「葵」となった

2025/04/07 07:03
念願かなって誕生した梅酒を紹介する「よかもんや」の森浩子店長=宮崎県三股町樺山
念願かなって誕生した梅酒を紹介する「よかもんや」の森浩子店長=宮崎県三股町樺山
 宮崎県三股町で物産館「よかもんや」を運営する「みまたんよかもん協同組合」は、未利用の町産梅を活用したオリジナル梅酒「葵-aoi-」を開発し、3月下旬から販売を始めた。町にかつて複数軒あった酒蔵が消えて半世紀以上。「三股の酒をつくりたい」という同館の森浩子店長(41)の思いに、コロナ禍で縁がつながった大崎町の天星酒造が応えた。

 三股町には自家用で梅の木を植えている人が多い。ただこの10年ほどは高齢化に伴い、「収穫作業が厳しくなった」「規格外品の処分先がない」などの相談が館に寄せられるようになっていた。

 新型コロナウイルス禍さなかの2021年、みまたんよかもん協同組合は大崎町ふるさと特産品振興事業協同組合と物産交流を始めた。その交流で知り合った天星酒造に森店長が状況を話し、「梅酒づくりプロジェクト」がスタート。青梅と熟成梅、芋や米焼酎との組み合わせなど3年かけて試作・試飲を重ねた。

 第1弾として青梅と米焼酎の組み合わせを決めた昨年、米、梅の不作に見舞われる。焼酎を麦に変え、何とか500ミリリットル入り300本の販売にこぎ着けた。

 すっきりとした飲み口が好評で、3月23日の発売から1週間で半数が売れた。森店長は「紆余(うよ)曲折あっただけに、反応がうれしい」と喜び、「今後は町産はちみつや茶を活用するなど梅酒のバリエーションを増やしていけたら」と話す。町のふるさと納税返礼品にも検討中という。

 「葵-aoi-」はアルコール度数13度。価格は1600円。同館=0986(52)3131。

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